こんにちは。コーチの井上です。
京都にある幼児教室にて勤務しています。
ある日の、幼児教室での出来事
小学校受験を控えた子たちの授業の中で、面接の練習をする時間があります。
その日の質問は「お手伝いをしますか?」というものでした。
Aちゃんは「しません」と言いました。
その数か月前には「お茶碗をならべるとかお箸をおく」と言ってくれていた子でした。
少し気になったのでお母さんに何気なく
「○○ちゃんお手伝いしませんって言ってましたが、最近何かありましたか?」と尋ねると、
お母さんは「毎日やるって約束したのに約束を破ったから、
叱ったらそれからお手伝いしなくなったんです」と言っていました。
受験の面接でも家族の中での役割として、お手伝いはよく質問される項目でした。
それもあって私もつい「何かやらせてください」とだけしか言いませんでした。
その言葉が親子の関係をより悪化させてしまうことになってしまったのです。
数日後、お母さんからの相談…
お母さんから「何も言うことを聞かなくなった」と相談を受けました。
私は何のことかわからず「どうしてですか?」と聞くと
「お手伝いをやらせようとして毎日、
『お手伝いして、お手伝いして。学校で質問されたら困るからお手伝いして。』と
繰り返し話をしたら『やりたくない。やらない。』と言って、
勉強しなさいと言っても、お風呂はいろうと言っても
何も言うことを聞かなくなったんです」ということでした。
私もつい受験の為にも必要だと思っていたので、
言葉足らずでお母さんに申し訳なかったですと謝り、
少し時間をとって話すことにしました。
きっかけとなった出来事
その子がどうしてお手伝いをしなくなったのかというところから
お母さんの話をじっくり聞いていきました。
するとお母さんが御飯を用意する時間がばらばらで、
本人のお手伝いをしたい時間と、お母さんのやってほしい時間が合わなかったことが発端だったとわかりました。
また「お手伝いをしないので叱っているのではなく、
約束を守らないことで叱っていたけど、
子どもには伝わっていなかったかも」という言葉も出てきました。
そして最後にはお手伝いをさせるのが目的ではなく、
約束を守る大切さを伝えることから、もう一度やり直しする、と話をしてくれました。
寄り添って聴くことで答えは相手から出てくる
その後、面接練習でAちゃんは
「お手伝いしています。お風呂のお掃除をしています」と言っていました。
子どもが自分で歩き出す為にお母さんは一生懸命頑張っています。
ただその頑張りがうまく子どもに伝えられなかったり行き違いしてしまったりすることもたくさんあります。
その時々に私たちがお母さんや子どもに寄り添い話を聴くことで、
自分たちで答えを出してくれるのだと改めて実感した出来事でした。