近年、ほめる育児が推奨されるようになりましたが、コーチングでは承認を4パターンに分類しています。
たとえば、お子さんが「宿題が終わった」、と見せてきたとしましょう。
A 優秀だね。素晴らしいよ。
B 宿題はできて当たり前だよ。そんなことで喜んでちゃだめ。
C 感心したよ。見せてくれてありがとう。
D 2時間机に向かったんだね。
上記の4つから選ぶとしたら、みなさんは、お子さんにどの声掛けをしますか?
A 評価のほめ方
「優秀だね。素晴らしいよ。」
一般的に承認やほめと言われているのは、このAです。
主語が「あなたは」であるところから、Youメッセージと呼ばれています。
あなたは立派、あなたは偉いなどと、評価や、解釈などを伝える言葉です。
多くは上位者から下位者に対して用いられます。
こういう言葉でほめてもらえるとうれしいものですが、
Youメッセージばかりで育ったお子さんは
「評価されなきゃ」と感じ、
評価されるような行動をとれない自分は愛されない、認めてもらえないのでは、という不安感が強まる懸念があります。
B 認めない、ほめない
「宿題はできて当たり前だよ。そんなことで喜んでちゃだめ。」
子どもが「認めてほしい」「ほめてほしい」と思っている時にBのような認めない対応をすると、子どもの潜在意識は「否定された」と理解します。
極端な言い方をすれば
「自分は無用」「愛されていない」「興味を持たれていない」という理解かもしれません。
そして無意識に、興味を持ってもらうための行動を始めます。
いたずらや反抗なども含めて、その行動は様々な形をとります。
C 私を主語にして感情を伝えるほめ方
「感心したよ。見せてくれてありがとう」
子どものことを言うのではなく、「お父さんはうれしい」「お母さんは感激したよ」と、
「自分の心に何が起こったのか」を言うところからI(アイ)メッセージのほめ方と呼んでいます。
感情をそのまま言葉にするのです。
「自分の行動や創り出した結果が、お父さんお母さんを幸福にしている」
子どもの潜在意識はそう理解し、心のつながり、愛情のつながりを感じとります。
D 事実のフィードバック
「2時間机に向かったんだね」
Dは無機質な印象ですね。
テストで80点とったら「80点だね」
子どもが2時間机に向かったら「2時間机に向かったね」、そう言うだけ。
評価を一切交えずに、見たまま、ありのままを伝えるだけ。
これをフィードバックと言います。
ほめではありませんが、確実な「承認」です。
「認める」は、もともと「見て、留める」ですから、
このフィードバックこそ、最も本質的な承認であるといえます。
「80点もとったね」「2時間も机にむかったね」になると、たちまちAの評価になってしまいます。
親は評価者ではない
お子さんを承認するときに、評価・解釈・判断・思い込み・先入観など(総称して「概念」と呼びます)を極力手放し、
事実だけを伝えてみることをオススメします。
具体例を挙げてみます。
いつも片付けをしないお子さんが、誰に言われずとも片付けをしていたとしましょう。
「偉いね」とか「いつもそんなふうにやらなきゃダメだよ」と言う前に、事実を見てみるのです。
そこにある事実は、
①子どもが片付けをした
②自分は驚きと、喜びを感じた
です。それをそのまま口にします。
「片付けしたね」
お子さんは「お父さんお母さんは自分を見ている」と感じます。
お子さんが何も言わなければ、質問をしてみるといいですね。
「どんな気分?」と。
そして、「お父さん/お母さん、ちょっとびっくり!すっごくうれしい気分!」と感情を伝えてください。
親の評価や解釈を伝えなくても、シンプルにお子さんの心に届きます。
まとめ
Iメッセージとフィードバック、この二つの承認を積極的に使っていきましょう。
お子さんは人に信頼され、感謝され、愛される喜びを得て、人の幸せに貢献しようとする人生を歩むようになります。