「この子に教えてあげなければ」「しっかり自分が育ててあげないと」という想いが先行すれば、「教える」「諭す」「話す」「与える」ことにエネルギーを注ぐようになり、子どもの話を「聴く」ことには無頓着になりがちです。
しかし本来は逆で、「聴く」ことを通して、子どもたちの意欲や能力は引き出されていくものです。
そこで、今回はパパママ・コーチングの基本スキルである「傾聴」についてご紹介します。
安心感・自己肯定感
人間は社会的な動物ですから、人とつながっている感覚や、人に受け容れられている感覚を無意識に求めていて、それが実感できないと不安になったり、混乱が起こったりします。
つながっている、受け容れられている…それを確かめられるのが「話す」行為です。
話したことを相手が受け取らなかったり、粗雑に扱われたら、どうでしょうか。
つながっている、受け容れられている…そんな感覚を抱けるのは、相手が大事に、しっかりと自分の話したことを受けとってくれた時です。
これが「傾聴」できている状態です。
お父さん、お母さんが家庭の中で、お子さんの話をしっかりと傾聴してくれると、
・すっきりした。楽になった。軽くなった。
・つながっている。受け容れられている。自分はここにいていいんだ。
お子さんはそんな風な感覚を得ます。
状況や心を客観的に見る視点
また、人の頭にはいろんなものが詰まっていますが、どんなものが詰まっているのか実はよく自覚できていません。
モヤモヤ、ゴチャゴチャとした、整理のついていない頭の中を取り出して、身体から離して距離をとることで、
・頭の中にあったものを切り離して、距離ができて客観的に見えてくる。
・理解、気づき、納得ができる。
こんな言語化の効果が生まれます。
聴く技術
お子さんの話を傾聴しようとするとき、最も重要なのは、お子さんに対する「興味」です。
「できるか、できないか」「自分に関係があるか、関係がないか」
「好ましいか、好ましくないか」「正しいか、間違っているか」
といった判断を手放し、「興味」だけでお子さんの話を聴いてみましょう。
そして、お子さんにとって「安全な場」であること。
否定されるのではないか、何倍も言い返されるのではないか…
そんな不安な気持ちがあるままでは、自由に話すことができません。
無意識に自分を守るための言い訳、うそ、親が喜びそうなお利口な言葉などが出てきてしまいます。
「あぁ、ちゃんと受け取ってくれるんだ。何を話しても大丈夫なんだ」と思えれば、お子さんは驚くほど素直に、自分の想いを話し始めます。
お子さんのモヤモヤ、イライラ、マイナス思考も無理に正そうとせずに、お子さんの話すままにじっくり耳を傾けて受け取ってあげましょう。
まとめ
ぜひ、お子さんを「正そう」「導こう」とエネルギーを費やすよりも、「しっかり受けとろう」「この子の気持ちに耳を傾けよう」と、向き合ってあげてください。
どんな子も、実は「聴いてほしい」という気持ちを持っています。
そして、子どもたちは「聴いてもらって育つ生き物」なのです。