こんにちは。教育コーチの福田です。
通信制高校で高校生年代のお子さんをサポートする仕事をしています。
「いくら言っても子どもが変わらない。」
「将来のことを思うとこのままでいいはずはないのに…」とお悩みになられたことはありませんか?
かつて、ある生徒が1回の面談で大きな成長を遂げました。
高校3年生のある女の子。
彼女の課題は、課題を期限までにできないこと、遅刻・欠席が多いことでした。
3年生になるまでにも、なってからも、この問題が常に付きまとう日々でした。
何度も話したものの、なぜできないのか、怠けているのかそうではないのかはわかりませんでした。
転機となった三者面談
受験勉強も手つかずの状態で迎えた3年生の10月の三者面談。
彼女と現状の確認をしたあと、通学や提出物、受験のことは脇に置き、私自身が感じていた彼女の人間性のすばらしさについて話しました。
「私は人として〇〇さんがすごく好きだし、すばらしいと思っている。
〇〇さんはいつも誰に対しても分け隔てなく関わり、相手の思いを引き出すことができる。相手へのやさしい気配りもできる。
それでいて皆をまとめるリーダーシップも持っている。すばらしい人だよね。」
思いもよらない展開に彼女は不思議そうな表情をしながらも頷きながら聞いてくれました。
続けてこんなことを伝えました。
なぜ期限や時間を守れるようになってほしいのか
「SDGsが誰一人取り残さないことを原則として掲げているように、これからの社会を担うリーダーは自分だけ良ければ良いというものではない。
私は、まさにあなたのような人に社会を担うリーダーであってほしいと思っている。
でも、どれだけすばらしい人間でも、期限や時間を守らない人間だとしたらどうだろうか。」
「最初はごまかしもきくけど、2回、3回繰り返したら次からはどんなにいい人であっても何も任せてもらえなくなってしまうんだよ。
だって任せたことが言った日までにできてなかったら、お客さんに迷惑でしょう?
そんな人に仕事を任せるのはこわいから、他の人にやってもらおうってなるのね。
そうしてどんな良い人間性も活かす機会が得られなくなってしまう。」
表面的な課題の奥にある、その子本来のすばらしさ
「〇〇さんがそんな風になったらと思うと、あまりにももったいないよ。
〇〇さんは社会を担える力があるのに、そんな形で活躍できないなんてことには絶対になってほしくない。
だってあなたはこんなにもすばらしい人間なんだから。」
こんなことをゆっくりと、穏やかな口調で話しました。彼女は時折涙をこぼしながら聞いてくれました。
彼女は課題ができない、期限を守れない、時間を守れない、見方によってはとてもルーズな子でした。
しかし、そんな彼女、実は後輩たちにやさしく声をかけ、皆が心地よく過ごせる場作りができる一面を持っている子でもありました。
私はそれを見て感じたことをただ伝えただけです。
面談後、彼女に起こった変化
翌日から彼女は生まれ変わったかのように勉強するようになりました。
期限も時間も守れるようになり、最終的には、第一志望の大学に合格することもできました。
後日話を聞くと、彼女はそのとき初めて心から変わろうと思ったそうです。
ぶれない行動を引き出した「あり方への承認」
私たち大人はついつい子どもの行動一つ一つに気を取られ、躍起になってしまうことがあります。
でも、行動は時によって大きく変わりますよね。
私たちコーチが本当に着目すべきは、人の行動ではないのだと思います。
行動は、あくまでもそのときに表出している現象でしかないからです。
子どもの中にある不変の資質・あり方を認める(=承認する)ことは、その子の存在そのものを認めることです。
それができたとき、子どもの心の中にある「育とうとする気持ち」を最大限に引き出すことができます。
まとめ
ぜひ目の前のお子さんの「できていない今の行動」ではなく、「本来持っている資質」に目を向け、Iメッセージを贈ってあげてください。
その言葉でお子さんが自分の明るい未来をイメージすることができれば、きっと何かが変わるきっかけになりますよ。